【GPF】ファイナル振り返り ~SP「パリの散歩道」 羽生結弦の世界~
このシーズン、ゆづの競技プロを生で見るのは2回目。
グランプリファイナルにはオリンピックの切符もかかっている。
どんな気持ちでゆづはこの試合に臨むのだろう、と思いながら福岡の地に降り立った。
私はその演技の間、金メダル祈願で買ったiPhone5Sゴールドを握りしめて祈っていた。
今日こそは満足の行く演技になるようにと。
他のカテゴリもじっくり見たけれど、やっぱり男子が近づいてくると落ち着かない。
この日は6分間練習から、集中度合いが違うのが見て取れた。
ゆづがコールされ、スタートのポジションで映しだされた顔を見てほっとする。
カナダの時のように目が泳いだりしていなかった。
ちゃんと落ち着いた意思のある表情だった。
会場全体がその瞬間を息を飲んで見守っているような温かい雰囲気。
曲が流れ始めて、最初の4Tが綺麗に決まって、ボルテージの上がる会場。
キレッキレのスピンやステップ。
今日は失敗する気がしないな、と確信していた。
3Aはいつもどおり素晴らしいステップからの幅跳びのような大きさ。
去年からお散歩気味だった3Lzも綺麗で大きなジャンプに昇華していた。
ジャンプが決まるごとに会場がどよめき湧き上がる。
ステップも去年からいろいろと手直しした振りが新鮮で、
このプログラムの一つの特徴でもあった「へ(変形ランジ)」もさらにかっこよくなっていて。
氷上のプリンスなんてうまいこと言ったなと思う。
2ヶ月の間にここまでちゃんと形にしてきたゆづの努力に感服。
カナダでのあの悔しい気持ちをちゃんと克服できる結果になったのだと思う。
持ち越しプログラムを心配されたりもしたけど、これはやっぱりすごいプロだった。
見ている間、自分の体温が徐々に上がってくるのを感じていた。
このまま、ノーミスかと思われたけど、最後のスピンでぐらついてちょっと、ヒヤヒヤ。
それでも、フィニッシュポーズが決まるか決まらないかのタイミングから、
会場が地盤から持ち上がったのでは?と思えるような全体のスタオベ。
見ている人たちも自分たちの目の前で起こったことに引き寄せられていたと思う。
しばらく拍手も鳴り止まず、アイスには投げ入れられた花束などが一杯だった。
フラワーボーイ&ガールが一生懸命に投げられたプレゼントや花を拾う。
ゆづもキスクラに戻る途中、ちょっとでも、と手伝おうとしていてほのぼの。
演技後のゆづからはやり切った感が伝わって来ていた。
世界選手権で成し遂げられなかった、「パリの散歩道」の完成が見えてきた気がした。
もしかして100点超、来ちゃうんじゃないの?とふとも。
100点には届かなかったけど、エリックのチャンの得点を塗り替えて世界最高得点。
本人の喜びよりもオーサーの雄叫びにびっくり。
そのオーサーを見ていたゆづの表情が可愛かった。
そしてテレビにも映しだされた安定の女子力。
あわわ、とやっていた顔もなんとも言えず、チャーミングでした。
さっきまではやんちゃな男子だったのにね。
でも、本当に、よかったね、ゆづ。
ちゃんと自分を超えたね。
氷上には羽生結弦にしか作り出せない世界がちゃんとあった。
他の誰にも出来ない、ゆづワールドが。
そんな世界をそろそろフリーでも見たい、と興奮してご飯を食べながら思っていた。
まさか翌日に起こることなんて、思いもよらず。