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羽生結弦くんの応援ブログです。ここで記載されている内容はあくまでも私の個人的な意見であり、正当性を評価したものではありません。どのように受け取るかはそれぞれがご判断ください。

■パンドラの箱に残った希望 〜フィギュア世界選手権 in ヘルシンキ その2〜

男子SPの戦いは壮絶なものだった。
ショートで第一グループからクワドを跳ぶ選手がいる。

その中で、やはり後半2グループの戦いは息を飲む流れだった。

ネイサンがミスをして、ボーヤンはミスなしの100点目前。
6分間練習のためにリンクサイドに出てきた彼は何かを熱唱していた。
何かに駆り立てられるように。

第一滑走だった彼はタイムオーバーに加え、またもクワドサルコウのコンビネーションでつまづいた。
着氷が乱れ、すねをついていたのに無理やりダブルトウを跳んだけれど、コンビネーションとみなされず、強制GOE-3。
それ以外の要素で点をかき集めて、98点台。
ボーヤンに続いての2位でなんとか、フリーに希望は残せるかと思っていた。

彼が扉を開けた「真・四回転時代」は彼にとってもパンドラの箱だった。

最終グループではパトリック、しょーま、そしてハビがノーミスで滑りきり、100点Overでゆづの上にたった。
パトリックのショートの点は、ソチオリンピックのクワド1本でゆづが出した103点を超えたものだった。
結果、5位。

誰が彼のそんな順位を予想しただろう?
SPの上位に位置付けるのに100点を超えることが必要だなんて。
本人も落ち込んだとあとで言っていたけれど、見ていた私たちも呆然として、何が起こったのかよくわかってなかったと思う。

彼が去年と同じジャンプ構成で、プログラムをやりきれば、首位を維持できたのに、と思った人もいたと思う。
今シーズン、新しく4Loをプログラムに取り入れ、フリーで4本のクワドを跳ぶ。
パトリックはクワド1本で100点を超えたし、ハビは去年と同じ構成でSP首位を取った。
なのに、チャレンジする必要があったのか?と。

きっと、その答えは来シーズンにならないと分からないけれど。

オリンピックまでの2年をひとつのシーズンと考えて、彼が何をしたいのか、わかっていた。
自分がかつてそうであったように、若さという勢いでTESをガンガンあげて追い上げてくるボーヤンやネイサン、しょーまをかわすために「守る」という選択がなかったことを。
誰かのミス待ちのプログラムで彼が納得するわけがないと。

彼が構成をあげて、挑んだのはたぶん超えたいものがあったから。
このシーズン、羽生結弦が闘っていたのは、しょーまでも、ネイサンでも、ハビでもなく「史上最高」の自分のパフォーマンスだったんだとなんとなく思っていた。
自分を超えないことには、彼には平昌のメダルは見えて来なかったのだと思う

決まらないサルコウのコンビネーションジャンプ。
まとまらない自分のプログラム。
超えたい自分とのギャップ。
そして、様々なプレッシャー。

彼が開けたパンドラの箱はまさに彼に「絶望」を見せつけた。

この時、私は気づかなかった。
そこに大きな希望(Hope)が残っていたことに。
そう、彼自身がそのHopeだったことに。