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羽生結弦くんの応援ブログです。ここで記載されている内容はあくまでも私の個人的な意見であり、正当性を評価したものではありません。どのように受け取るかはそれぞれがご判断ください。

【World】決戦の地 〜締めくくりのバラード〜

ここに来るまでに出てきた情報では、何が起こっているのか、どんな状態でこの試合に臨むのか、想像すらできなかった。

ただ、もう、見守るしかない、そう思って上海入りした。

2度目の上海。
 
中国という国に抵抗があった私をここに連れてきたのは間違いなく、羽生結弦という存在だった。
そしてここはあの強烈な思い出を作った街。
 
上海の街の風景を見ると、あの時のことを鮮明に思い出す。
 
そうあの「流血のファントム」を。
あの事故から始まったグランプリシリーズ。
何かに憑かれたようにファントムを演じた彼。
 
あれ以上の気迫は彼の競技人生の中でも見ることができないだろうと、そう思っていた。
あの時と同じ会場で彼が滑り切ってくれること、それだけを祈っていた。
結果は二の次で、元気で滑っている姿が見れればいい、とどこかでそう思っていた。
 
限られた時間の中で、精一杯の戦う準備をしてきた彼に対して、そう思うことは失礼だったのかもしれない。

中国杯のときの緩い感じの運営は、セキュリティの強化とボランティアスタッフの増員などでカバーされ、ずいぶんときちんとしたものだった。

ゆづの滑走順にたどり着くまえから、日本男子は厳しい戦いになっていた。こづも、ムラ君も想定外の順位に沈む。
まかさこのふたりにこんなことが起ころうとは思いもよらなかった。

SPの要素抜けはきつい。
点数的にも、心理的にも。
男子は想定外の順位になった選手も多かったように思う。
ゆづにも頑張ってもらって、明日二人も頑張ってくれたらと、途中からは祈るような気分だった。

会場のスクリーンには時々、後の組みのウォームアップシーンが映される。
ゆづやハンヤンが映ると、リンクサイドでスタンバイしてる選手をそっちのけで歓声があがる。
その熱狂ぶりは少し怖いくらいだった。
 
6練で出てきた時、一瞬、顔色が悪いのかと思った。
今、思うと、独特の照明のせいだったのかもしれない。
(テレビでじっくりみんなの顔を見たらみんな顔色悪く見えたw)。
また、グラデーションの色を変えてきた衣装。
4T以外は安心して見えられそうだなぁ、と感じて。
このリンクで滑ることにどんな思いを馳せてるんだろう、と考えたりもした。
 
それでもスタートポジションに立った彼はとても落ち着いているように見えた。
誰かも書いてたけど、中国では演技の前の静けさはない。
音楽が鳴りはじめても、ガヤガヤ。
私は大丈夫かな?と心配したけど、ゆづはいつも通りだった。
 
伸びるスケーティング。
一蹴りでどこまでいくんだろう?という滑らかさ。
そして驚くべきスピード。
 
最初の4Tを跳ぶまでそれを堪能してた。
多くのゆづファンが分かってることだと思うけど、彼のこのジャンプは直前のスリーターンの深さを見ると、失敗か、成功かが大体読める。
スリーターンが浅い時はダメな時。
見ていて、たぶんターンのところで、「あっ」という声が出てたと思う。
 
回りきってのステップアウトで手をつく。
それでも、次の瞬間にはもう何もなかったかのように音楽に溶け込んでた。
 
昔はなかなか立ち上がらないとか、言われてたのにね。
そこからはもう目も心も奪われて良く覚えてない、かもw。
 
ただもう、全てが音楽と合っている感じが凄くて、スピンのポジションチェンジや、手の細かい表現までがビタッとはまっているように見えた。
 
これがゆづの進化なんだな、と感じる。
まるで彼自身が音を奏でているのではと錯覚させる動き。
 
全てがただ美しかった。
冒頭のミスなんて忘れるくらいに。
 
そして、フィニッシュのポーズの彼が手を握りしめる動作で完全に心を鷲掴み。
キュン、どころの騒ぎじゃなかったよ。
魂そのものをガッツリと掴まれたような感覚。
やってくれたな、と。
 
このプロの締めくくりに相応しい素晴らしいパフォーマンスにスタオベして、拍手して、ちょっとだけ涙ぐんだ。
 
最悪の状態も覚悟して乗り込んだ上海だった。
元気に滑ってくれたら、それだけでいいと、下げた心のハードル。
期待をはるかに超えたパフォーマンスをこの上海で見れた事がなによりの幸せだった。
 
ゆづ、おかえり。
やっぱり氷の上の君が一番生き生きしててかっこいいよ。
戻ってこれてよかったね。
 
まずは明日につながった。
 
 
 
 
つづく。