【GPS】アサインが物語るもの
待ちに待ったはずのGPSのアサインの結果を見て、動揺が隠せなかった。
理由は大きく3つ。
今年の世界選手権の結果から、当然、NHK杯にエントリーされると思っていたのに、ゆづのアサインはスケートカナダとエリック杯だったから。
そして、2試合ともパトリック・チャンと同じアサインだったから。
もう一つはあまりにも言葉にしたくないのでやめておく。
血管が沸騰するかと思った。
オリンピックでメダルを取ることを目標にしてきたゆづになんという仕打ちなんだろう、と正直、感じたから。
だから、冷静になるまで文字を綴るのはやめることにした。
そして、一晩、じっくり考えた。
浅はかだったな、私、が自分の結論。
ああ、オーサーは2年間を一つのシーズンだと思って、ゆづを育ててきたのか。
ゆづもハビもオリンピックの表彰台に立たせるために、そんな戦略で来たのか、とぼんやり感じられるようになって、少し冷静に慣れた自分がいた。
確かにこれが最良の選択だったのかもしれない、と。
オーサーに日本に帰りたがるのが難点、なんて言われたゆづが下した決断。
勝つために、自分の能力を発揮するため、感情の一部を置き去りにまでした決断。
勝つための戦略、それを受け止めなくて、どうする。
それをファンが応援しなくてどうする、と思えてきた。
スケジュールを見るとそれがあまりにも理想的であることがわかる。
■スケートカナダ:10月25日~27日
(2週間)
■エリック杯:11月15日~17日
(2週間)
■GPF(福岡):12月5日~7日
(1週間)
■全日本選手権:12月20日~23日
全日本までの4試合。
移動が入るところが2週間、たぶんGPFに出たら、日本に滞在するだろうと考えるとそこの間隔が短くても対応が可能。
計算しやすいスケジュールはコンディションが作りやすい。
日本に帰ってくれば、否が応でも仕事は増える。
ストーカーチックなファンに追いかけられることも想定される。
心ない言葉にさらされることもあるだろう。
そんなストレスをゆづにかけないための選択なのだろう。
たとえ、オーサー自身が世界中を飛び回る過酷なスケジュールになったとしても、
それを選んでくれる指導者のもとにいることが誇らしい。
人を見抜く目を持っていたゆづが誇らしい。
去年のファンだけでなく、多くのスケートファンを驚かせた選択も、あまりにもそれが自然で、彼にとって、最良の選択だったことが今ならわかる。
一方でパトリック・チャンと2戦たたかうことがどうなのかとふと考えた。
GPF出場を考えると確かに、苦しいけれど、理想的だ、と。
ゆづがソチで金メダルを取るために必要なこと。
もちろん、パトリック・チャンを王座から引きずり降ろすこと。
国内で1位になることには何の意味もない、いや、もちろん代表の座を得るためには必要なのだけれど。
それでも、彼に勝たずして、オリンピックで王者になれないことはわかっているだろう。
だったら、身近でその強さや、弱さを感じておく、ことは何より大事。
ゆづが言う、今の彼との距離を測ることも。
もし、ふたりともGPFに出ると仮定すると、オリンピックまでに3戦も戦うことができる。
しんどいことかもしれないけれど、理想的な舞台が用意されたのだ。
前のシーズンだって、スケート・アメリカもNHK杯も楽な戦いではなかった。
NHK杯でゆづが優勝することを簡単には想像できなかった。
高橋が本命だったと思う。
GPFだって、たとえ、チャンが調子を崩していたとしても、勝ちには変わりない。
世界選手権ではあのコンディションの中、TESはゆづがトップだった。
WS2位のゆづ。
伸び盛りの彼に対して、GPSに負けるかも、という不安はあまりにも失礼かとも思えてきた。
彼は勝つ気でいる、すべての戦いに。
そう考えるとこのアサインはゆづにとって、理想的なオリンピックへの準備なのだと思えてきている。
ものは考えよう、ってこと。
もちろんNHK杯にも行く気まんまんだった私の気持ちは宙に浮いたけれど、だったら、カナダに行けばいいだけのこと。
日本から見ると、スケートカナダの開催地セント・ジョンは東海岸の最も遠いところある。
奇しくも先シーズン、カーリングのミックスダブルスの世界選手権のあったフレデリクトンの近く。
それでも、フランス語やロシア語しか通じない場所より、気持ちのハードルは低い。
さらに、カナダには私の愛するTimHotonsがある(脱線w)。
いままでどんな逆境にも負けずにここまで来たゆづが、
「いい刺激をもらえるのでうれしい。これほどいいチャンスはない」と言っているなら、それを応援するだけでいい。
そういうことだ。さて、カナダ旅行の準備にも忙しくなるかも。
だってー、ソチのチケットが手に入る気がしないんだもの。
たとえ、妄想でも考えている間は楽しいし。
さて、どうなることやら。