【GPS】力強い「悲愴」 ~エキシビジョン~
時差ボケしたまま毎日、長い時間リンクにいる。
公式練習から男子の試合までほぼ12時間くらい。
それでもそのすべてを見れることがスケートカナダのいいところ。
もちろんエキシビジョンのリハーサルも舞台裏から見れる。
今日の演目は「悲愴」
あの美しい衣装での悲愴が見れることに私もドキドキする。
北米だから、去年のHello,I love youかな?とも思っていたけど、まさかの「悲愴」。
私がそれをつぶやいたtweetはなんと100以上もRetweetされていてびっくり。
みんな驚いたんだね。
フィナーレの練習でみんなで位置を確認したり、振りを確認したりするところからじっくり見れる。
あっこちゃん、織田くん、ゆづは三人でいろいろ話したり、じゃれたりしながら、
準備している中、ゆづの心はもう、自分のこのあとの演技のことで一杯の様子。
待つタイミングがあると、ちょっと、集団を離れて、悲愴の振り付けを思い出しながら、確認していた。
私は悲愴をテレビでしか見たことがない。
そう、あのロミオを見てファンになったということは、それまでのプログラムは生で見る機会がなかった、そういうこと。
だから素直に楽しみだった。
どんな感じなんだろう?と。
後半組のリハーサルが始まると、どうやらクワドを飛ぶ気満々のゆづ。
それどころか4T-3Tの練習。
そうか、完全な試合バージョンの「悲愴」をやるつもりなのか。
過去の試合でもほとんど決まらなかったコンビネーション。
念入りに確認をして、本番に向けた準備をしていた。
エキシの時間は試合と違って緊張せずにすむ。
なごやかで楽しん雰囲気の中、後半グループの3組めでゆづが登場。
あの頃と同じ悲愴の衣装。
この悲愴の衣装をまとってフリーを滑っていたころから、たったの2年しかたっていない。
一体、どれほど濃密な時間を私達は彼の演技とともに過ごして来たのだろう。
クワドは決まらなかったけれど、悲愴の終盤のスピンを目の前で見ることができた。
それはとても幸せな時間だった。
映像でしか見たことのなかったそのプログラムはあの頃とは違う力強さをともなっていた。
2年間の成長の片鱗がそこにあったような気がしていた。
ゆづのオリンピックシーズン。
あと3ヶ月、走り抜けなければならない。
決して順調な滑り出しではなかったけれど、彼は前を向いている、それだけでいい。
エリック杯、勝つか、負けるかということよりも、終わった時に笑顔でいられる演技をしてほしいと切に願う。
いろんなインタビューで命を削って頑張る、みたいなことを言ってたけれど、
ゆづ、それは駄目だ。
だって、ソチで活躍するあなたも見たいけれど、一日でも長く、
そして、一つでも多くのプログラムを見たいと願っている。
いつまでもその演技の余韻に浸りたいと思っているのだから。
このシーズン。
周りの期待は日に日に大きくなるのかもしれない。
マスコミからもいろいろなことを言われるでしょう。
ライバルたちの活躍に心おだやかになれない日もあるかもしれない。
そして、ファンの期待ですら重く感じることもあるでしょう。
ソチまでの道は決して、楽ではない。
そんな現実を前にしても、あなたが金メダルをとるところを見てみたい。
その気持に一ミリも変わりはない。
その思いを込めて、今年は自分のiPhoneはゴールドに切り替えた。
その瞬間が来るまで、きっと、祈りにも似た願いを込めて応援する。
ファンにできることはそのたった一つだけ。
その決意を強くした3日間でした。
そして、ようやく、何とか自宅にたどり着きました。セントジョンからの帰り道はホテルから家まで27時間の長旅でした。