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羽生結弦くんの応援ブログです。ここで記載されている内容はあくまでも私の個人的な意見であり、正当性を評価したものではありません。どのように受け取るかはそれぞれがご判断ください。

流血のファントム  ~狂気の中に何を見たのか 4 ~

フィニッシュポーズのゆづの表情は穏やかで、そして優しい空気に満ちていた。
壮絶な闘いを終えた彼の心によぎったものは何だたんだろうか?
会場は嵐のように降り注ぐぬいぐるみと、彼が無事に演技を終えたことでへの安堵と、
その努力への惜しみない声援が交じり合い、異様な空気に包まれていた。
ゆづは足を引きずりつつ、どこか痛いのか、それを抑えつつ、キスクラに向かっていた。

オーサーはそんな彼をどんな気持ちでむかえたのだろう?

キスクラでのオーサーとのやり取り。
昨年のスケカナで自爆した時は、オーサーのいうことは全く聞けず、プーを探していた姿を思い出した。
その時に比べたら2人の距離は圧倒的に縮まっているんだろうな、と感じていた。
オーサーだって生きた心地のしない4分半だったと思うし、私自身、つぶさにそれを見ていたはずなのに、何がそこで起こったのかを未だに記憶は曖昧だ。

感動という言葉では表せない演技だった。
その迫力と意志だけがそこにあった。
美しかったけれど、それはいつもの彼のそれではなく、魂を昇華させるような、命を削って醸し出す特別なそれだったと私は思っている。

ただ、ただ、滑りきれてよかったと。
もう、これ以上の無理はしないで欲しい、という気持ちだった。

あとで、この時、キスクラではファイナルにいけないかもなんて会話が繰り広げられたとこを知り、どこまで彼は貪欲に結果を求めるんだろう、と思ったけど。


スコアが発表された時の会場の歓声は今でも忘れない。
暫定1位になったことで、ファイナルへの可能性を残したことを示していた。

そりゃ、そうだ。
一人だけジャンプ構成のレベルが違う。
誰かも書いてたけど、ゆづのジャンプの強さは4回転が2種類跳べるということよりも、トリプルアクセルの確実性だと思う。
トリプルアクセルを後半に2本も跳べる選手がどれだけいるだろう。
しかもコンビネーションで。
今回は3A-3Tは決まらなかったけれど、3A-1Lo-3Sの基礎点はクワドより高い。
あの状況でそれを決めれる強さはどこから出てくるのだろう、と思う。

彼の点数が高いという意見を言っている人もいたと聞く。
TESに関してはこのルールの元では至極、当たり前についていたと思う。
あんなに減点のついたのもなかなか見たことがないくらいちゃんと引かれるところは引かれていた。
PCSについては私の意見は2G全体が高めについていたという印象だった。

アナウンスされた結果を見て、ゆづは声を上げて泣いていた。
ソトニコワにも言われてたよね、「泣き虫」だって。
目に涙を浮かべた彼を見たことはあったけど、あれほど、声を上げて泣くのを見たのは始めて。

彼が挑戦した結果、グランプリファイナルへの望みをつなぐ結果を手にしたことで、いろんな思いがこみ上げて来るのも当然だろう。
無茶で、無謀で、彼にも、他のアスリートにも真似なんてして欲しいと思わないけれど、この日の彼がやり切ったことは凄いことだったな、と今でも思う。

リンクに鬼のような形相で飛び出して諦めなかったことに意味を持たせる事ができてよかったと。
滑らないほうがいい、リンクに出た時は思ったけれど、諦めないことで彼は僅かな望みをつなぐことができたのだから。

リンクに降り注ぐプレゼントの嵐の中にリンクに出ていき、
狂ったように叫ぶ観客の熱気の後、滑ったコフトンも凄かった。
嬉しくはないだろうけれど、彼のメンタルも相当、鍛えられたに違いないと思う。

そんな状況の中、まとめたコフトンが金メダルを取れてよかったと思う。
結果をみた彼に笑顔がなかったことは残念だったけれど。

 

つづく。