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羽生結弦くんの応援ブログです。ここで記載されている内容はあくまでも私の個人的な意見であり、正当性を評価したものではありません。どのように受け取るかはそれぞれがご判断ください。

【WTT】始まりと終わり 〜バラード一番の世界〜

国別にゆづが出るとは最初から思っていなかった。
あくまで、それは予感めいたもの。
昨年までの状況や、怪我や手術の影響を考えるとそういう選択になるだろうな、と、感じたからかもしない。

なので、ワールドから帰ってきて、国別出場の話を聞いて、最初にしたことはチケット探しだった。
譲ってくださった方々、本当にありがとうございました。
おかげでこのシーズン最後のゆづを見ることができました。


私自身も始めての国別参加。

いろいろ様子もわからないまま、しかも仕事後に駆けつけたので、見たかったアンドリュー様も見れず。

ゆづは最終滑走。
どんなバラ1を見せてくれるのだろうと、期待は膨らみます。
 
去年、鉄板だったパリの散歩道。
今年はいろんな影響もあって、まだ、ノーミスの演技を見ていない。ここで、そうなったらいいなぁ、と思っていた。

事前に出ていた公式練習の映像からはゆづの軸の細い回転の早いジャンプが戻っているように見えた。
私の大好物のジャンプ。

国別に参戦したのは始めてだった。
会場の空気が今まで見てきたどれとも違っていた。
全体的に冷めた感じがする会場だった。
後で思ったことだけど、たぶん、初観戦の人が多かったんだと思う。
手拍子やスタオベもまばらだったし、声援もおとなしいな、と思っていた。

ゆづが出てくるまでは。

彼が出てきてからの会場の雰囲気は熱狂というか、狂気的なものだった。
たぶんスケート観戦のマナーも知らず、30秒ルールも知らないだろう人のギリギリまで続く声かけ。
ああ、今回もか、とあのたまアリワールドを思い出していた。

「ゆづるくん、落ち着いて〜」という声がかかったのは本当に音楽のスタートする直前だった。
落ち着くのは、そっちだと、突っ込みたくなったけど。
次の瞬間、スクリーンに映ったゆづの表情を見て、ほっとする。
あの時のようにその言葉に反応したりはしてなかった。
闘う気持ちが目に込められたいい顔をしていた。

ネットでこの件に苦情を言ってる人をたくさん見かけた。
昨年同様に私も納得のいかない思いを抱えてた。
でも、初観戦で、ネットにも詳しくない人が暗黙のルール的なものを理解できるか?と言われたら難しいだろうな、ということも分かる。
私自身も試合を最初に観戦したときは周りをキョロキョロしながら様子を伺っていたし。

これは個人の問題というよりは運営側がもう少し手をかけるべきだったというのが本質なのかとも思う。
演技中の席の移動や、写真撮影、コールされてからの掛け声について、こうしてくださいね、とガイドを出しておけば、少しは改善しただろう。
(もちろん故意でやる人は防げないけど)
翌日、何度かアナウンスがあって落ち着いたことを思えば、やっぱりそういう配慮があって然るべきだったと思う。

ゆづはそんなことには関係なくしっかり集中してショパンの音楽に身を委ねていた。
最初のクワドトウの軌道に入って、スリーターンが綺麗に描かれるのを見て、今日のクワドは大丈夫と、そう思ったよ。

ステップからの踏切。
美しい空中姿勢。
軽やかな着氷。
羽生結弦らしい、クワドが帰ってきたな、と。

よくゆづのことをジャンプばっかりと揶揄する人たちがいる。
フィギュアにとってジャンプはひとつのエレメンツ。
ただそれが得意なだけ。
私は彼の美しく軽やかなジャンプはそのものが表現そのものだと思うよ。
ジャンプ廚、上等。
美しいものは、美しいんです。

でもバラード1番の美しさはそれだけじゃない。
すべての動きがピアノの音を表現しているようなメリハリのあるしなやかなパフォーマンス。
スピンの緩急も音の流れにあっている。
うっとりする時間はあっという間。

そして、難しい入りの3A。
この苦しいシーズン、彼を何度も救ったジャンプ。
なかなかうまく跳べなくてと言っていた少年のころの彼。
いつの間にか自分の武器にしてたね。
アクセルは安心して見れる。

最後のジャンプは、鬼門のルッツからのコンビネーション。
フリーでは跳べるルッツがなぜショートでは跳べないんだろう、は私の今年の疑問だった。
ジャンプまでの入りが難しかったことを、その後のインタビューで知る。
それでもこれって確かにDOIで見せた時には、ウォーレイが入ってて、もっと難しかったはず。
観客にわかりにくいところでプログラムの難易度を上げて、自分の限界を広げて来たんだね。
でも、今回も最初のルッツの着氷がだいぶ前のめりで、無理やり3Tをつけてたから、転倒につながっちゃったよね。

見たかったノーミスの演技。

でもこういう現実もありかな、と思う。
まだまだやれることがあると上を目指して行ける。

終わった後、応援席に向かってごめんねと言うように手を合わせた姿を見て、何を謝るのだろう?と思っていた。
ミスはあったけど、間違いなく彼は1位で、12ポイントを稼ぐはずと。
きっと、チームにノーミスの演技で弾みをつけたかったんだろうね
それとも自分が言葉にしたことを実現したかったんだろうか?

有言実行は諸刃の剣。
分かっているだろうけれど、彼はそれを口にすることを躊躇わない。
彼を応援したくなる理由のひとつはそこにある。

どんな時も一生懸命、全力投球。
それがお祭り大会と言われるこの大会でも。
 
つづく。