【雑感】フィギュアスケートの未来
DOIで初めて今年のプログラムのバラード1番を見たとき、息を飲んだ。
彼が冒頭に3Aを跳んだのを見て、直感したから。
4Tは後半に跳ぶのだということ、そして、もしかしたらコンボかもしれないと。
さすがにそれはなかったけれど、今年も攻めるのか、と。
まさかSPの構成をいじるとは思っていなかった私の推測を超えていてびっくりしてた。
でもね、びっくりはそれで終わらなかったんだよ、彼の挑戦は。
フリーのオペラ座の構成について、クワド3本は覚悟してた。
でも、まさか、コンビネーションを後半に持ってくるなんて。
しかも映像では3A-1Lo-3Sを跳んでいる姿もちらっと映って、驚くのなんのって。
どこまでも攻めるんだ、彼は、と思ったから。
ショーの合間に4Loを成功させた事も、4Lzや4Aにもトライしていることが漏れ聞こえたてきて、
本人は自分へのご褒美なんて曖昧な表現をしてたけれど。
今週、愛知で行われていたジュニアグランプリ。
始まる前からしょーまの綺麗なクワドが話題に。
3Aより、先にクワドが安定するなんて、カナダ人?なんて突っ込みを入れたくなるくらい綺麗だった。
映像からは安定感も感じられて、本当に楽しみだな、と思っていた。
ジュニアのショートではクワドが跳べないと知ったのは、ボーヤンも、しょーまも入れていないのを見てだった。
そっか、FSが勝負なのか、と妙に納得したりして。
そして、今日。
私が感じたのは「フィギュアスケートの未来」。
平昌を目指すスケータが見ているその未来。
ボーヤンは3クワドを決め、しょーまも2クワドに挑戦(ひとつは回転不足)。
その2人の演技は今すぐシニアにいっても十分に結果を残せるものに見えた。
もちろんそれぞれタイプは違う。
ボーヤンのTESは恐ろしく高い。シニアでもあれだけのTESを取る選手はいない。
しょーまは3Aが入っていないので、ちょっとだけジャンプ構成は低いけど、スピンや他のところでしっかり稼ぐ。
僅差の素晴らしい試合だった。
え、ジュニアの試合なの?と思うくらいの展開だったと思う。
その時、自分の中で腑に落ちた事があった。
ああ、だからか。
ゆづの構成は攻めているように見えたけど、王者として地位を守るための選択だったんだろうと。
挑戦することが「攻撃は最大の防御」という選択だったんじゃないかな?と思えてきて。
こんな未来がくる事を予想していたのだろう、と思うとその感覚の鋭さに驚いたり、感心したり。
クワドの種類を増やそうとしている事もこれは未来で選択しなければ行けなくなった時の準備なんだろうね。
あのプル様ですら、平昌で戦うには、クワドの種類が必要だと言ってたね(あれ、ヤナさんだっけ?)。
そのために1シーズン大会に出なくても、それを習得すると言ってたような。
ま、本当にできるかどうかは分からないけど、プル様はそれが「フィギュアスケートの未来」だと思っているということだよね。
男子シングルの世界はクワドを跳ばなくても勝てるオリンピックを経て、ソチオリンピックでクワドは勝つために当たり前の武器になった。
さらに、それはもっと、もっと進化していくと選手はその未来に向かっている。
どれが欠けても勝てない、トータルパッケージを実現できる選手だけが、勝てる時代。
選手にとっては苦しい事も増えるかもしれない。
それでもその進化に私はワクワクせずにはいられない。
ゆづがその進化の中でどうやって戦い抜くのか。
若い世代やライバル達はどうやって彼を倒そうと戦略を練ってくるのか。
これから平昌を目指すゆづの3年半。
決して平坦な道ではないのだろうと想像している。
いつ彼の地位を脅かす選手がでてきても不思議ではない。
勝つ事よりも、勝ち続ける事の方がはるかに難しいのがスポーツの世界。
追われる側が逃げ切るのは本当に難しい。
それでも私は彼を応援し続けると思う。
彼が目指すもうひとつの金メダルをとるその瞬間まで。
彼とともにフィギュアスケートの未来を目に焼きつけながら。
しょーまが3Aをモノにしたら、平昌のゆづの一番のライバルは彼かもしれないなと実感した今日でした。