【雑感】ソチを巡る攻防とその結果に思うこと-女子編
普段はあまり女子のことは書かないのだけれど、あまりにも凄い戦いで、あまりに素晴らしかったので、ちょっとだけ残しておこうかと。
やっぱり女子は本当にいざというきに「度胸」がある、というかメンタルコントロールができるんだな、と見ていて感じた。
こんな緊張する場面でノーミスの演技がたくさん見れるとは。
トリノの時も、バンクーバーの時も女子の日本選手権の戦いはそんな感じだったらしいけれど、
それはいつかじっくり見る機会があれば、見てみたいとも思う。
素晴らしい演技ばかりだったのだけど、印象に残ったのは、何人か。
本郷さん
アイスショーで見てからとても気になるスケーターでした。
手足が長くてスケールが大きい演技が印象的で。
全日本でものびのびと演技されている姿に目を惹かれました。
まだまだ、これからのどんな風な花を咲かせてくれるのかとっても楽しみ。
遥ちゃん
こんなにも素晴らしい彼女を見ることができてとても幸せでした。
去年の苦しかった全日本から、脱皮して、静かで優しいプログラムなんだけど、
とってもスピードがあって、そのバランスが見てて気持ちよかった。
とっても似合うお姫様衣装も素敵でうっとりしちゃいました。
知子ちゃん
とっても緊張したんだろうな、という面持ちでした。
でも、ショートも、フリーも今、自分ができる最大限のことをしたのだと思う。
できることなら彼女もオリンピックに行かせてあげたかったよ。
とっても小さな彼女が氷の上ではとても大きく見える。
それは彼女がプログラムの中でそういうことを意識して見せてるからだと思う。
ジャンプがケビンと同じタイプだと思うのだけど、ちょっと低めに見えるので、ちょっとひやひやするんだけど。
次のピョンチャンにはぜひ、行って欲しいな。
かなこちゃん
ショートが終わって、うれし涙を流した彼女を見て、本当によかったね、と私はつぶやいていた。
今年のグランプリシリーズでもの凄く苦労していたのを見ていたから。
彼女らしい演技がなかなかできなくて、苦しんでいるようだったから。
プログラムを変えて、全日本で会心の演技ができて本当によかった。
それどころか、フリーもノーミスの素晴らしいできだったのを見て、ああ、やっぱり彼女は持ってるな、と。
オリンピックが4年に1回しかないことで、どうしても、力がある人が必ず行けるとは限らない。
力とともに、「運」みたいなモノを見方につける必要がある。
この日、全日本選手権の会場で、彼女はそれを手にしていたのだと思う。
ソチに行ったら、やめるかもなんて言ってたけど、もうちょっと、いろんなかなこちゃんを見せて欲しいな。
あっこちゃん
文句なしに素晴らしかった。
ショートもフリーも。
彼女はエリックのパトリック状態だった。
本当はソチでその瞬間を迎えたかったと思うだろう、マジックモーメントが彼女には来ていたと思う。
彼女がそこで演技をすることで空気すらも変える、そんな演技だった。
今年で現役を終える彼女にフィギュアの神様が微笑んだ瞬間だったのかもしれない。
高難度のジャンプを跳ばなくても、やることをきちんとすべてできたら、高得点が出るという見本のような滑りだった。
ベテランがベテランらしく滑っていたのだと思う。
実はスケートカナダの時に、リプちゃんにあっこちゃんが負けちゃったとき、
私の前に座っていたカナダ人が、私が日本人だったからだと思うけれど、
「技術力は若い彼女は凄かったけれど、Akikoの演技の方が素晴らしかったわ」と言ってくれました。
少なくとも、目の肥えたカナダの観客からの言葉の意味が私にもジワジワとしみてきた全日本選手権。
もう一度、ソチでその演技ができるよう祈っています。
真央ちゃん
彼女にとって全日本選手権ですら、勝ち負けよりも3Aを3回入れたプログラムを滑りきることが重要だったんだろうな、と見て思ってた。
私はゆづに嵌るまで、ずっと、ずっとライトなフィギュアファンで。
ライトだったけれど、地上波やBSで放映されるフィギュアの大会は必ず見ていた。
伊藤みどりさん、と真央ちゃんが好きだった。
トリプルアクセルという難しいことに挑戦してく2人の姿が重なって見えたからかもしれない。
ゆづを応援するようになって、フィギュアスケートそのものに詳しくなっていくなかで、
採点基準、ジャンプの構成の点数などが、分かるようになって、彼女がどこへ向かうのか、心配になった。
勝つための戦略としてはフリーに3Aを2回入れることは重要じゃない。
真央ちゃんの構成はトリプルアクセル二つにする前の方がBVが高い。
なのに、なぜ?と私にもずっと分からなかった。
だけど、彼女の挑戦を見ていくうちに、彼女はメダルがとりたいのでも、キムヨナに勝ちたい訳でもなく、
あの日、目指す演技が完璧にできなかった自分を取り戻しに行きたいのかな?と思うようになった。
そのために、3Aもエレメンツとしてぜったい必要なものなのでしょうね。
きっと、バンクーバーの氷の上に置き忘れてしまったものを取り戻すためのオリンピックなんだよね。
そう考えると納得が行く。
行くんだけどさ、真央ちゃんの選んだ道はいばらの道だよね。
マスコミは、普通の国民はメダルを渇望している。
真央ちゃんが無難な選択をして、メダルを取ってくれる方がいいという意見もたくさん出ると思う。
だけどさ、ソチに行って、一人でその舞台に立つのは彼女。
そこに立つために今年は早い段階から仕上げて、あとは3Aだけ、というところまで持ってきた。
その武器を持って行って挑戦したい、という彼女を止めたいとも思わない。
私はそんな男気のある選択が素晴らしいと思う。
だから、ソチに向かって真央ちゃんが理想とする形にプログラムが仕上がることを祈ろうと思う。
ソチで滑る日にはコンディションが万全であることを祈ろう。
忘れ物をきちんと回収して、表彰台の一番高いところに立つこと心から、祈ろう、とそう思う。
その完成された演技をみてみたい、そう思うから。
そう、きっとあの歌のように、何か変わるよ。
「10000万回だめで、かっこ悪くても、10001回目は何か、変わるかもしれない」
素敵な演技をたくさん見せていただき、本当に幸せな気分でした。
かなこちゃん、あっこさん、真央ちゃん、ソチでも輝いてね。